【プレーの表と裏】
草加市は6月半ばから体育館が使えるかも?と言った状態になってきました。
ただ3密回避の条件があったりで、単純にバスケができる!という状態になるのかは不安ですが、楽しみにしています!
最近はチーム状況や指導論の記事を書いていましたので、久々にプレーの記事を書いてみました。が、結局は指導論になってしまった感がありますw
最近はSNSやYouTubeでいろんなプレーを簡単に見ることができますね。スキルコーチも増えてきて、現役プレイヤーやプロコーチと国内外関わらず様々な人たちが様々なコンテンツを配信してくれています。
30代40代が学生の頃はインターネットはまだまだ黎明期で、たまにBSで放送されるNBAを録画してそれこそ何度も観ていたと思います(BSは現役復帰したジョーダンがいるウィザーズばっかり放送していたので一時期ウィザーズが嫌いでしたwww)
それに比べて本当に便利で情報を得やすい環境になりましたよね。
だからこそ、一般論ですが正しい情報を見極める力が必要になります。
元プロだからといって全てが正しいとは限らないのが現状、中には全力で間違った情報を自信満々に配信している方もいます。とある動画で、シュートを飛ばすポイントは前腕部だ!って言われて白目を剥きそうになりました(全てがそういうのではないですからね!素晴らしいコンテンツを提供してくれてる方のが多い)
バスケットボールはスキル単発でうまく行くほど簡単ではなく、様々な要素を適切に接続することで良いプレーに繋がります。
ただチーム所属のスキルコーチでもない限り、チームの状況を鑑みたプレーの接続を提供するのは難しく、特に動画だとスキルという単位で「切り売り」をして指導するケースがほとんどかと思います。
例えば↓の動画、短くてわかりやすい
punch drag(punch stop)としてスキルトレーニングをしてます。
最近でこそpunchはよく聞くようになってきましたが、ドリブル中の足の使い方にまで名前が付いてるのは数年前までは知りませんでした。
で、このストップですが、前半はドラッグからプルアップ、動画中盤ではレッグスルー、後半ではバックと、いくつかのパターンとしてトレーニングをしています。ダッシュ&ストップ、ディレクションチェンジ等のスキルが盛り込まれていて良い動画だと思います。
このようなドリブルスキルやハンドリング、シュートフォームや各種トレーニングの動画は探せばたくさんあります。どんどん真似してできるプレーを増やして欲しいと前回の記事で書きました。
そして前回の記事で話したような「行間」が今回のテーマの「表と裏」に繋がります。
表と裏は、単純に右があるなら左もあるよ!と言ったレベルではなく、もう少しざっくりいうと駆け引きです。
例えば鬼ごっこ。鬼が正面から捕まえに来た時、逃げるためには左右のどちらかにいくしかないですよね(もしくは鬼の逆方向がありますが、今はバスケの話なので逆方向は無しにしましょう)
まっすぐ右に行っても良いけど、鬼もすぐに右に追ってくる。少しでも鬼から離れるためにはどうするか。例えば少し左にいくフリをして鬼を迷わせて右に行く、と言った駆け引きは自然にすると思います。
右があるから左というフリが効く。表と裏があることで駆け引きになり得る、ということです。
障害物がありますが、まさに究極の駆け引き!
話をバスケに戻します。
オフェンスはドリブルでディフェンスをかわしてリングに近づきたい。ディフェンスは振り切られたくない、リングに近付かせたくない。
OFがDFをかわすために左に行くと見せかけて右がある。これを突き詰めて行った物がクロスオーバー等の「スキル」です。
例えば左に行くと見せかけての典型的なスキルのクロスオーバー(0:43〜)↓
有名なシーンですね。アイバーソンがジョーダンに挑む名シーンです。
これ、toe tapというらしいです。爪先ちょんちょん。ハーデン( 2:02〜)がわかりやすい。
ジョーダンを抜くためにアイバーソンが仕掛ける。アイバーソンが左に行こうと(toe tap)したことでジョーダンが反応し、空いた右側のスペースへ行くためにドリブルチェンジ(クロスオーバー)になる。
でも大事なのはtoe tapという名前や形ではなく、表と裏の部分で駆け引きの部分です。toe tapやクロスオーバーと言ったスキルは駆け引きのためのツールに過ぎないということです。
一度で抜けなくても急にストップするとDFは反応できずに体勢を崩してかわしやすい状況になる。これを無駄なく行うために先ほどのpunch stopが必要になります。
これも本質は急に止まることではなく、あくまでストレートにダウンヒルしようとする表があるからこそ、punchという裏が効いた結果のDFとのseparateになります。
表と裏、駆け引きの延長線上に必要とされるものがスキルになりますが、この本質を理解できないとtoe tapやpunch stopのような細かい部分のみにフォーカスしてしまいます。プロ選手やスキルコーチはこう言った本質を理解した上でスキルを行使することで素晴らしいプレーや指導を行っています。
ですが冒頭で綴ったように、情報が氾濫している時代です。本質を理解できないままスキルトレーニングをしたり指導をするのはとても危険なことです。なぜそのスキルが必要なのか、どの部分が大事なのか。
体や足の向き、目線やボールの位置はとても大事で、そこに拘ることでより質の良いプレーに繋がります。チームのコーチに言われたからこのトレーニングする、このプレーを完コピする。そうすることでそのプレーは身につきます。
でもそこに拘る理由はなぜ?なぜそのプレーを完コピする?着飾った言葉に惑わされないように本質を理解することで、さらに良いプレーに繋がります。
優れている指導者の定義は昔と今では全く変わっており、
一昔前は「優秀なコーチは情報をたくさん知っていることでアドバンテージを得る」と定義されていましたが、現在は「優秀なコーチは多くの情報から最適なものを選択できる」と定義されます。
(※出典元 鈴木良和「バスケットボールの教科書1」ベースボールマガジン社)
これはプレイヤーにもそのまま当てはまります。
スキルや戦術は誰でも手に入れられる時代です。
先ほどの細かいスキルを知っていることやできることが大事なのではなく、なぜそのスキルが大事でなぜ使うのかをコートで表現できる、指導できることで「優秀な」プレイヤー、指導者になり得るのだと思います。
優秀なプレイヤー、指導者になるために。
すべきことは明確ですね。
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