ミニバスというバスケットボールに似た全く別のスポーツ

バスケトーク
501stバスケットボールクラブを立ち上げて約半年、それまではミニバスを17年指導していました(とういか現在進行形で指導しています)
 
中学生のチームをつくり、ミニバスとの違いを改めて感じ始めたので、少し考えをアウトプットしました。
 
 
ざっくり所感から言うと、「ミニバスはバスケではない、バスケに限りなく近い何か」ということです。
 
何が違うのか。
ミニバスと中学生(一般以上のカテゴリ)の違いはたくさんありますが、大きな違いをいくつか羅列すると、
・リングが低い(一般305cm、ミニ260cm)
・男女で5号ボール(一般男子7号、女子6号)
・試合を成立するのに10人必要(2019年度より8人に変更されたが、むしろ改悪された)
・試合時間(これはカテゴリでバラバラ)
・交代は4Pのみ
・バックパス、8秒ルールなし
・3Pなし
・ゾーンDF禁止(ミニ、中学生のみ)
 
こんなところでしょうか。
基本的なルールや必要なスキルはミニバスとバスケはほとんど変わりません。相手のゴールにより多く得点を入れる競技です。
 
ではなぜミニバスを「バスケに限りなく近い何か」と表現したのか。
個人的には「3Pの有無」が最大の違いをもたらしていると考えます。
 
 
前回のブログで「シュートの期待値」の話をしました(読んでない方はぜひ一度目を通してみてください。大した内容じゃないけど)
シュートの期待値の説明は前回の記事に任せるとして、バスケとして狙うべきシュートは「より期待値の高いシュート」になります。
 
シュートはゴールに近ければ近いほど確率が高まるのですが、ゴールから遠くても期待値が高まる場合もあります。それが3Pシュートです。
 
 
現代バスケットの3P期待値は最も防ぐべき脅威となっています。
 
3Pを撃たせないため、ディフェンスはアウトサイドへ引っ張り出される。
出てきたディフェンスは3Pを警戒しつつ、カウンターによるドライブも守らなければならない。
 
ディフェンスがアウトサイドに出てくる状況が作れたら、積極的にインサイドへアタックし、より確率の高いシュートを狙う。
インサイドを守ろうと他のディフェンスが飛んできたら、空いてるプレイヤーにパスして再び3Pを狙わせる。
 
 
3Pがあると、これだけ攻撃側と守備側で駆け引きが生まれます。
より期待値の高いシュートを撃ちたい、撃たせたくない。それこそがバスケットボールの最大の醍醐味なのではないでしょうか。
 
 
ですがミニバスには3Pがありません。
シュートを遠くから撃つメリットが一切ないのです。ミニバスの戦術としてはいかにゴールに近づくかに集約されます。
 
まず考えられることは、より背の高いプレイヤーが絶対的に有利になります。背が高いプレイヤーが有利なのは一般も変わりませんが、3Pがあれば遠くからのシュートで対抗することも不可能ではありません。
 
ですがミニバスはその対抗策がない。外から撃つ確率の悪い2点と、相手の大きいプレイヤーが撃つゴール近くの2点。どちらの期待値が高いかは議論するまでもないですよね。
 
外から撃つメリットがない、これは極論から言うと外のシュートを習得する必要がないとすら言えます。
 
外から撃つことがなくなると、ディフェンス側はゴール下周辺だけを固めるだけで済むことになります。
相手の大きいプレイヤーや、ドリブルでゴールに近づくプレーを守るだけで相手の攻撃の期待値を大きく減らせます。
 
ギブ&ゴーやドライブ、カッティングをして、なんとかしてインサイドでシュートを撃つように努力しているチームもあります(うちのミニバスもそうです)
ですが結局、よりゴールに近いシュートを撃つことだけに注力している事実は変わりません。
 
 
たまにシュートが上手なミニバスプレイヤーもいます。それはそれでとても大事なことで、将来は楽しみですよね。
ですが相手のチームはどうか。ほとんどのチームは外のシュートよりも中のシュートを警戒しています。
 
言い方を変えるとボールマンをタイトに守ってシュートを撃たせないようにするディフェンスではないのです。
緩めにディフェンスをして抜かれないことが第一の守り方です。
 
そのディフェンスに対して楽にシュートを撃って入る分には問題ありません。
ですがいざタイトなディフェンスに守られたら?それに対抗するプレーはできるのか?
いくら練習で頑張っても、いざ本番の対戦相手がこのようなプレーだと、徐々にそちらに合わせていってしまうものです。
 
 
これはプレイヤー個人やチーム単独の問題でなく、ミニバスという仕組みの問題だと考えます。
 
3Pがないという事実だけで、戦術やスキル、考え方がまったく違ってしまいます。
 
 
ミニバスを「勝敗をつける競技」と捉えるとこの違いは果てしなく大きいものです。
ですがミニバスは「将来プレーする本物のバスケの下積み期間」です。もちろん試合をする以上は勝敗は大事です。ですが指導者と父兄はそこだけに囚われずに、どういうプレーが大事なのか。将来活躍するにはどういった戦術、スキル、考え方が必要なのかを見失わないようにしなければなりません。
 
ミニバスに3Pはなくても、外のシュートの重要性を理解しながら、バスケとしての成長をできる指導をすべきではないでしょうか。
空いたら撃つ、これだけのことですが、その感覚が日本が次のステップに進む第一歩だと感じています。
 
 
 
ミニバスの話から日本の次のステップと話が飛躍しましたが、個人的にはそんなに遠くない話だと思ってます。こないだのW杯、やはり日本と他の国の3Pを撃つタイミングや精度、全てが違うように見えました。
 
ミニバスがバスケの全ての基礎ではないですが、ミニバスが持つ役割も大きいと思います。
(ミニバスに3P導入されないかな。よく子供は無理して撃つからフォームや体が壊れると言う人が多いけど、うちの小学生女子は当たり前のように6号で3Pが届くし入ります。正しい知識と正しいフォーム、要は勉強しましょうってことですね。)

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